パワーポイントの活用④構成

いよいよ、本格的にパワーポイントの作成作業に入ります。前段の③項目はいわば環境設定の範囲でした。

さあ、どんなものを作っていきましょうか?

私自身、以前の仕事で作ったもので、もっとも手が掛かったのは、「営業用のスキル研修」で使用するものでした。1週間の研修期間(延30時間程度)中に、営業の心得とか、訪問のためのスキルとか、具体的な契約に関する手順とか・・どういう順番で身につける事が効果的かを考えながら、また、個別対面でやり取りしながら指導するためのQ&A、お客様にNoと言われた時の対処とか・・とにかく、あらゆる場面想定しながら、基本を押さえてまとめるという作業でした。ですから、基礎資料を作る事が先決。そこから、コンパクトにPPに仕上げていく、言ってみれば、PP作成作業は研修の準備作業の仕上げのようなものでした。(この作業を通常の営業管理業務と並行して行うことになるのが辛かった)

さて、その時の様に、PPのもとになる資料が既にある場合(資料の要約をプレゼンする場合)、資料の項目(見出し)を先に設定しておくと作業がはかどります。
その場合、「表示」タブで、プレゼンテーションの表示の中にある「アウトライン表示」に切り替え、項目を順次入力していくと良いでしょう。

これで、PP全体の構成が作れます。とりあえず、資料の大見出しを打ち込んでいくと良いでしょう。

白紙のプレゼンを選択すると、1ページ目は表紙になります。プレゼンの名前と作成者(プレゼンテーター名)を入れます。

2ページ目からが本体(内容)になります。
まず、大見出しを一つ入れてみましょう。

そうしたら、改行キーを押します。すると、次のスライドに移行するはずです。同じように、順番に大見出しだけを入力してしまいましょう。


こうしておいて全体をみると、元資料の見出し(項目)設定で、より詳しくプレゼンが必要な個所とか、要約した方が良いところなどが見えてきます。時には、スライドを増やして、グラフや表を表示した方が良いところも見つかるはずです。
資料構成・プレゼンの流れや時間を検証しながら、作成することに繋がります。
ワードで作成された資料があるのなら、PPへ「ワードで作成した目次部分」を「コピー&ペースト」も時間短縮の有効な手段です。
ワードとパワーポイントを2画面表示にして、比べながら作業すると楽にできます。

もとになる資料がない場合(私はそういう方が多いのですが)も、アウトライン表示を使って、プレゼン全体をイメージしながら作業ができるので良いと思います。

下の表示は、最近作ったPPのアウトライン表示です。ちょっとした会話から、「こんなプロジェクトを始めてみないか」との呼びかけがあったので、自分なりのプランを整理するために作成しました。全体は17枚のスライドで構成されています。

大見出し、中見出し、詳細へと順番に入力して作成するとこんなふうになります。図や表などは表示されていませんので、内容(文章)だけを追っていく形になります。ここに、この後、図表や写真・イラストなどを加えたり、動きをつけたりすることでより印象深い内容にしていくことになります。

ちなみに、このPPの「標準表示」は以下のようになっています。

「標準表示」で作成される方が多いように思いますが、そうなると、スライド1枚1枚に時間が掛かって全体像が見えなかったり、修正や補足の作業でいつまでも完成形が見えないなどということになります。ざっくりアウトライン表示を使って「構成」を固めて、注力すべきスライドに時間をかけるというのはいかがでしょうか?

パワーポイントの活用③サイズ

初めの「テンプレート選択」に続いて、注意しておきたいことが「サイズ指定」です。(作成中でも設定はできますが、配置が大きく変わってしまうことがあるので初めに設定しておいた方が良いでしょう)

☆「デザインタブ」を選択し、標準なら「右端」にある「ユーザー設定」の「スライドのサイズ」を選択します。すると以下のような画面になります。


以前のPPでは、この細かい設定はありませんでしたが、新しいバージョンでは、様々なサイズが選択できるようになっています。
単に、プロジェクターでスクリーンに映すというプレゼンのスタイルから、PCやタブレット画面を使って商品説明するとか、そのままパンフレットにしてしまうなど、使用用途が広がっているため、使用方法に適したサイズが指定できるようになりました。

選択したテンプレートスタイルによって、「標準(4:3)」「ワイド(16:9)」のいずれかになっていますが、「デザインタブ➡スライドのサイズ ▼」をクリックすると、小さな画面が開いてさらに細かい選択が出てきます。使用する場面を想定して設定を切り替える必要があります。


プレゼンで使用する場合、「ワイド画面」が良いでしょう。
最近のプロジェクターは、PCから出力される映像データに合わせてスクリーンに映し出すことができる機能がついていますので、一般的なプレゼンスタイルであれば、「ワイド画面」を選択して問題はないでしょう。
タブレットの使用であれば、「画面に合わせる」の中から、タブレットに適したサイズを選択しましょう。

ただ、「サイズ設定」は、手元資料にも関係します。
「ワイド画面」で作成したものは、手元資料にすると幅が広く小さく見える印刷結果になってしまいます。
手元資料優先で考えると、「標準(4:3)」の方が良いでしょう。どちらを選ぶかはご自身で判断してください。なお、手元資料の印刷に関しては、後段で「ひと工夫した印刷」でご紹介する予定です。

それ以外の「スライドのサイズ指定」を見ると、レターサイズやA4・はがきといった印刷も想定した設定ができることが判ります。パワーポイントは単にプレゼン用のソフトではなく、用途が広範囲にであることを示しています。アイデア次第で、活用は広がるはずです。以前に「ポスターの作成」について掲載したことがありますが、ワードに比べて画像の配置がしやすい事や、文字サイズの修正や装飾がしやすい事などを考えると、パワーポイントを使う方がやりやすいと思います。

パワーポイントの活用②デザインバリエーション

デザイン(テーマ・テンプレート)が決まったら、次は、バリエーションの選択です。
バリエーションというのは、テーマをもとに、配色・フォント・効果・背景のスタイルの4種を選択することです。


これは、テンプレートによって何種類か既に決まっているものがありますが、自分でも決められます。私が気を遣うのは、配色とフォントです。
配色をクリックすると、多様な組み合わせが並んでいます。一体どういう組み合わせかさっぱりわからないものもありますが、いくつかクリックすると、初めのイメージを確認することができますので、気に入ったものを選んでください。
迷ったら「office」にしておけば無難です。
作成後でも変更はできますし、スライドごと・文字単位でも変更はできますが、全体の統一感を保つ方が良いので、ここで設定しておくと便利です。


フォントも同様です。一番無難なのは「ゴシック体」ですが、全体に強くなりがちなので、内容に応じて変更してみてください。できれば、UD字体が良いのですが、私のPPのバリエーション・フォントには、UD体が設定されていないので、個別に設定しています。

「効果」は、設定したテーマ・デザインの個別(部分)の色使い(グラデーションや影のつけ方等)の設定を指定するものです。より立体的・視覚的な効果を高めるものですが、使う際には全体のイメージを考える必要がありますので、初めの段階では無視しても良いでしょう。

「背景」はスライド全体の背景の設定です。テーマによってさらに細かく調整できます。最初に選択したテーマにも背景はついているものがありますが気に入らなければ変更できます。(細かい書式設定もできますが凝り始めるとパワーポイントの作成に入れなくなりますので注意しましょう)

これで、パワーポイントのデザインのベースが出来上がりました。
作りたいプレゼン内容に合致しているか、アピール力はあるのか、顧客にとって心地よいものになっているか・・・センスが求められるところですね。

ここまでの作業は、まだ、本文ではなく事前処理ですのでさっさと進めましょう。

パワーポイントの活用①:デザイン

パワーポイントの目的は、会議やプレゼンで、内容を視覚的に演出し、簡潔に印象的に伝える事です。


だからこそ、真っ白い台紙に文字が並んだものを作るというのはもったいない。できれば、装飾のある台紙(テンプレート)を使うのが良いでしょう。
PPを起動すると最初に、オンラインテンプレートが開きます。その中から良さそうなデザインのものを選んで作成するのが手っ取り早いと思います。ただ、中には、暗いイメージだったり、映し出すと文字がかすんで見えたりするようなものもあるので、気に入ったものがなければ、白紙(新しいプレゼンテーション)を選択して作成し始めましょう。


デザインは、作り始めた後でも設定できますが、その場合、レイアウトが崩れる可能性があります。また、スライドごとでも「デザイン」タブで選択して設定できます。
なお、デザインタブで選んだデザインは、テキスト文字の字体や色も関連して設定されてしまいますので、作る途中で変更した場合、きちんと収まっているかも点検してみた方が良いでしょう。
私は、すでに元資料があって、そこからパワーポイントを作る場合は、白紙で作って、画像(枠イラスト)を張り付けてオリジナルにする方法が多かったと思います。
例えば、自社のロゴやキャラクター等をあしらったスライドを作り、それをコピーしてスライド枚数を増やしておいてから作る事という段取りでした。(時々、派手過ぎるというご意見を戴くことがありましたので、そこはセンスの問題かなと思います)

補足になりますが、全てのスライドに共通する形で「資料タイトル」「日付」「社名」「作成者名」を表示したり、ページ数を表示したりするのは、「挿入➡テキスト➡ヘッダーとフッター」の機能を使うことでできます。これは後日解説します。

パワーポイントを活用しませんか?

今、パワーポイントを使ってあるプロジェクト(そんなたいそうなものではありませんが)のアイデアをまとめています。本来、パワーポイントはプレゼン用のソフトですが、私は、アイデアを整理するツールとして活用しています。気に入っているのは、表示を「標準」から「アウトライン表示」に切り替えワードの様にアイデアを箇条書きでどんどん記入していき、整理しながらスライドに形作れるところです。要点を箇条書きで記入して、必要な図表た写真・イラスト・関連図・動画などを後で挿入したり、ネットから引用したり、アニメーション効果をつけ足したりして、内容や表現をどんどん変えていけるところです。デザイン全体やスライド単位でイメージを変更できます。ただ難点が一つ、出来栄えに拘り過ぎるといつまでも完成しないことですね。