業務マニュアルと業務プロセス⑥災害対策マニュアルその2

さて、基本が定まったら、あとは、業務プロセスの組み立て方と同じです。
ヒト・モノ・カネ・情報のエレメントの配分です。
「人」とは組織・指揮命令系統を含めた人材・人的資源。
災害時の人的資源は、通常時とは異なります。
消防訓練などで「防火管理体制表」を作成しているケースがありますが、いかがでしょう?有効に機能すると思っていますか?隊長、通報係・消火班・誘導係とか現状の体制で割り振っているケースが、災害時に有効に機能するでしょうか?隊長役となっているのは、たいていが事業所の所長・管理職ですが、常に在席しているとは限りません。
災害時の組織体制・指揮命令系統となると更に難しいかもしれません。だからこそ、有効な組織体制と指揮命令系統を明確にし、全ての従業員が理解しておく必要があります。
例えば、「風水害」で考えると、準備期間(注意報発生から警報・避難指示)がある程度あるため、基本の組織体制・指揮命令系統を確認し、現状そこにいる人員で役割分担をするという方法が望ましいでしょう。「震災」だと、発生後に、事業所に集まれる人員を確認して、役割を割り振ることで対応する事を決めておくことでしょう。
重要なのは、少人数であっても、最低限の機能を発揮し目的を達成できる組織体制を確保する事だと思います。また、人的資源は「人数」ではなく、スキル(能力)も重要な指標となります。現状の対応力を評価し、訓練を繰り返す事で向上させることが可能です。
今、作成している「災害時対応マニュアル」では、「風水害」では、管理役・連絡役・情報収集役の3つを置きました。「震災」でも基本は同じだと考えています。

「モノ」とは、災害時マニュアルを実施するために必要なモノを明確にすることです。
「風水害時」では、災害発生前と発生後の段階で必要となるモノをまず指定します。
私の事業所は、「要支援者への避難連絡(勧奨)」が大きな役割になります。そのため、発生前には、「要支援者の名簿」「電話」「記録簿」等が重要なモノに当たります。
災害発生後には、事業継続のため、非常時使用可能なインフラや機器類。非常用電源とか、万一の時に喪失しないデータの保管場所、通信機器等があります。ただ、私の事業所は「要支援者への対応」も求められますので、移動手段(自動車・自転車やバイク等)は重要なモノになります。
近年は、「帰宅困難者」も想定して寝泊まりできる資材や場所なども含めるところもありますし、食料や水と言ったもののローリングストックは常識となっていますね。
こうしたものを、マニュアルとともに一覧表にまとめておくことが大事です。

「カネ」は資金力。いざという時に経営が持ちこたえられる資金力を確保しておくことが最優先ですが、事業所単位でも、重要です。先に示した「モノ」が潤沢にあれば良いですが、長期に及ぶ場合買い足しも必要になるでしょう。その場合の、現金の調達方法は明確にしておくと良いでしょう。

「情報」は、災害時ほど重要な事はありません。内部の情報も極めて重要ですが、それ以上に、どこでどのような災害が発生しているのか、救助や避難態勢はどうなっているのか、日常よりもさらに外部情報は重要になってきます。
東日本大震災では、発生後に「津波情報」を正しく入手できなかったケースで人的被害が大きくなった例があります。また、情報が錯そうし、避難場所すら見つけられない状態に陥ったと聞きました。そういった情報の入手方法と共有方法を明確にしておくことは極めて重要です。これに付随して、先に示した「モノ」の項目には、「情報入手のためのインフラ・機器」を定めておく必要があります。

ただ、災害時マニュアルで最も重要なのは、タイムラインです。
風水害であれば、災害が発生する前の時間(例えば、注意報や警報の段階)からスタートし、準備を確実に行う時間を確保し、減災を進めるマニュアルにしておくことが大事です。
私の事業所は、先ほども書いたように「要支援者への状況把握と避難勧奨」が大きな役割として求められています。したがって、一つ前に行動を起こすことが求められます。
例えば、大雨注意報や洪水注意報が出た時、準備態勢を整えておくこと。警報に変わったらすぐにアクションを起こせるようにしておく必要があります。そして、大雨警報・洪水警報(高齢者等避難)が出たらすぐに対象者へ連絡する。
大地震であれば、発生からの経過時間を軸に、何をすべきかを整理すること。とくに発生から72時間が大きなポイントになるはずです。そこからは、避難所開設やインフラの回復段階という形で順に作成します。

さて、そう考えて、自分の働く事務所の「災害対策マニュアル」を作り始めています。
まずは2種のマニュアルです。風水害と地震は必須です。
実際のところ、この地域では「原発事故」も想定しなければなりませんが、福島の現実を目の当たりにすると、おいそれとは着手できません。心理的抵抗感が強く、作っても無用なものになりかねませんから。

さて、風水害の災害対策マニュアルの特徴は、フェーズ設定している点です。
「注意報」段階、「大雨警報・洪水警報(高齢者等避難)」段階、「土砂災害発生警報(避難指示)」段階、「緊急安全確保」と、それぞれのステージでのプロセスを定めることになります。
最も注視しているのが「注意報」「警報」段階です。最近では、「大雨洪水警報」「土砂災害警報」が頻繁に発令されるようになりました。それ程の豪雨がたびたび発生している現実を見ると、まず、その段階で「次の段階を想定する作業」こそ重要だと言えます。例え空振りに終わっても、良しとする気構えで、予備段階のプロセスに力を入れるという事が肝だと考えています。

地震災害については、発災時からのプロセスを発生直後3時間、72時間、1週間、それ以降と4段階に分けました。発生直後にはまず、安全の確保が最優先です。その上で、次の段階へ移れるという構図です。72時間は生命の維持可能限界の一つの指標です。それを過ぎれば、とりあえず生き延びたという事で、復旧、復興への動きと考えました。もっと細かくしても良いでしょうが、これくらいが精神的な限界ではないかと考えました。

ただ、これを作成していく中で最も困ったことがありました。
それは、自分の事務所の使命(ミッション)が明文化されていないという事でした。
ここは、介護サービスの現場ではなく、「相談業務」主体の事務所です。利用者(障がい者当人)とのつながりも、例えば、計画相談事業所ほど強くありません。福祉サービスと繋がっていない、利用されていない方々が相談される場所なのです。

当初は、「利用者の安否確認や避難支援の役割を担う」というミッションを想定していましたが、対象者は誰なのかが今一つ鮮明になっていない。だが、それぞれの担当者には、日ごろから対応している人が居て、災害時に何らかの支援が必要だと考えているわけです。

マニュアル整備の前に、自らの事業所・事務所のミッション(使命)を明文化しなければなりません。そして、それを職員全員が理解し、そのために何をすべきかを議論しなければいけない。そこからはじめて、必要な業務プロセスが浮かんでくるはずです。そういう議論を重ねて、マニュアルを整備していかないと、絵に描いた餅になってしまいますから。

業務マニュアルと業務プロセス⑤災害時マニュアルその1

ところで、最近は豪雨による災害が全国至る所で起きています。
被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。そして一日も早く日常の暮らしに戻れる事をお祈りいたします。
私の住んでいるところも数年前に、川の堤防が決壊し床上浸水の被害が発生しました。私がこの地へ移住する前のことですから、人伝いに聞く範囲なのですが、びわ湖の畔でありながら、長時間水が引かず、難儀された方も多かったようです。
琵琶湖の周囲の平地は、琵琶湖の水位が高かった昔は水面下にあり、特に、岸から近いところは沼地も多く、住宅地にする際に埋め立てられたところも少なくありません。
大型の排水設備はありますが、被害を防止することはできなかったようです。最近のニュースを見ながら、他人事ではないのだと思い、防災の備えを点検しています。

さて、本題に入ります。

今、業務マニュアルの整備の一環で、「防災マニュアル」に着手しています。

「防災マニュアル」。実は、・・・ちょっとこの言葉に馴染めません。
「防災とは何か」を突き詰めて考えると、ちょっと違和感があるのです。日本語的には、防災とは、災いを防ぐということです。という事は、災害が発生した時はすでに「防災」ではない段階にあるという事になります。まあ、政府機関で「防災マニュアル」という言葉を使い、「防災とは」という説明書きまで付けられてしまっては無駄な抵抗になりますが、本来の言葉なら「防災マニュアル」は、災害を防ぐための手順書であって、例えば、訓練をするとか、インフラや建物の災害防止のために日ごろ行う作業を定めたものに該当するはずです。
水害や地震が発生(あるいは発生の恐れ)があった時になすべき手順というのは「災害発生時のマニュアル」というべきだと思います。
しかし、殆んどのところで「防災マニュアル」という名称で、災害発生時の対応手順が定められているように思います。(ひねくれた考え方でしょうか?)

それはさておき・・・

現在、「風水害や迫ってくるときに何をすべきか」「大規模地震が発生したとき何をすべきか」を「災害時マニュアル」という名称で整備しています。従来からもあったのですが、余りにも稚拙で、有効性が低かったので改善提案をしているところです。

「災害時のBCP」も定められていますが、こちらも、余りに不整合が多く、経営者の認識不足を痛感しているところです。(これについてはすでにブログ発信しています)

さて、「災害時マニュアル」を作成する時、「なにを基本にすべきか」から考えましょう。
基本は、①職員の安全配慮 ②自助力 ③明確な優先順位だと考えます。
以前の職場で、「お客様優先に誘導を」とか「職員は是認職場に集合」などという表現がありました。ちょっと待ってください。まずは、自らの命、家族の命優先でしょ。その事を組織は明確に示しておく義務があるはずです。何を置いても・・というのは通用しません。職員が安全に災害に対応できる事こそ最も重視すべきことです。

そして、自分たちの実力を知る事。
言い換えれば、「自助力」です。
例えば、古い建物を使用している事業所で、震度6強の地震が来てしまった時、崩壊して使えないという事は容易に想像できます。
電力や水道等のインフラも十分ではないはずです。
自分たちの蓄えの中で使用可能なものがどれほどあるか。
それらの状況を把握し、すぐにできる効果的な方法に注力する判断ができるかどうか。それで初めて、災害へ対応する力が見えてくるはずです。

そして、何が優先かを考える事。
人の命より重要なものはありません。
組織として守るべき命を明確に捉えておくこと。何を捨てるかを明確にして、災害時には注力すべきものが判る事が大事です。

以上を踏まえて、マニュアルを整備します。

ふと、東日本大震災の時の福島原発事故を思い出しました。
3つの基本的な視点はどうだったのか。現場にいる職員と、本部にいる職員の認識にずれはなかったか、そして、国(政府)高官とその視点は共有できていたのか。
今もまだ、復興とは程遠い現実を見るにつけ、「備える」ことは何よりも重要な事だと痛感します。あの、震災とそれに続く被災、原発事故。あの痛ましい現実を思い出して、防災マニュアルの整備に取り組んでいくことが何より大事だと思います。

データ管理・フォルダー整理の考察

昨日、職場内部でちょっとした打合せがありました。主題は、「フォルダー管理」。
今、職場環境は、ネットワークを活用して、自部署だけでなく他部署、本部との情報共有は当たり前になっています。特に、私の法人はGoogleをプラットホームにしていて、Driveを介して仕事をする事がほとんどです。
そのため、ファイルデータを共有する時、どこに保管したか誰もが判るようにしておくことが必要になります。
個人で自己PCを使っている範囲であれば、ドキュメントやOnedrive、GoogleDriveに放り込んでおけば困りませんが、組織・複数以上で共有するには、共通のルールが必要です。

ネットで検索すると、実に多くのアイデアやヒントが掲載されていて、それだけみんな苦労しているのだというのが判ります。

ファイル名に通番や日付を入れるとか、タグをつけるとか、いろいろなヒントが見つかります。私も以前はこうした工夫をしていましたが、そうすると、ファイル名がやたら長くなって結局苦労した記憶があります。

今回の打合せも、初めはそういう視点で話し合いとなりましたが、結局のところ、フォルダーの整理が必要という結論に至りました。
今の職場で、共有しているGoogleDriveを見ると、実に第1層だけで、70以上のフォルダーがあることが判りました。第2層となると、ゆうに200は超えるでしょう。
この中からお目当てのファイルを探すというのが大変なのは当然です。
では、先に書いたように、ファイル名を通番にしたり、日付を入れるというのはどうでしょう?新たに作成するものは良いでしょうが、過去に作ったものは無理。ファイル数ではおそらく1万を越えているはずです。

※もちろん、ファイル検索機能(GoogleDrive)があることは知っていますし、私は十分活用していますが、苦労している皆さんは、どうしてもフォルダーから探していきたいという動きになるようです。(MSの功罪)

発想を変えて考えることを提案しました。

ファイルデータは何故生まれるか?それは、業務プロセスの成果物として発生するのです。作業を通じて記録を残したり、会議開催に向けて資料作成したり、報告書や提案書を作成したり、とにかく、業務の一つのプロセスに付随して生まれるものがファイルデータです。そう考えると、それを収めるフォルダーも、業務ごとに作るのが順当です。
そう考えると、「業務分掌」「職務分掌」を基本に置いてみるというのが一つの整理手法だと思います。実際、先ほど70以上のフォルダーも、職務分掌の項目に照らして見ると、これが実に綺麗に収まるのです。(当たり前ですが・・)
職務分掌は、大項目と中項目・小項目に分かれています。大項目だけで11区分ありますから、まず、現状のフォルダーを11区分に当てはめて、頭に01~11の記号を付けたしました。すると、Drive内できれいに並んでくれます。そして、大きな区分ごとにフォルダーを作成し、そこへ放り込む。Drive内には11のフォルダーがあるだけで、きれいに整理できたのです。階層が深くなったという問題は生じますが、職務分掌単位ですから、関係する部分は明確になります。
同時に、自分が行っている作業がどういう職務分掌に位置付けられているか、誰と関連するかを意識する事に繋がります。
職務分掌の見直しがあった時も、その単位でフォルダーを変更すれば良いので、大きくフォルダーが増えることはないはずです。

ファイル・データは、業務プロセスの成果物であることを基本に納めるべきフォルダーを設定するというのは、特に目新しい考え方ではありません。紙ベースの仕事では、その単位でしょるうを閉じ込んで保管しています。それをデジタルでも活用したに過ぎません。

問題は、職員一人一人が、何の基準もなく、自由にフォルダーを作り保管するという業務の仕方なのです。(恐ろしい事に、まだまだ、デスクトップにファイルを貼り付けている職員もいます。)
そういう意味では、パソコン作業における基本的な教育訓練ができていない、マネジメントできていないという組織の問題とも言えますね。

仕事は、一定の基準や考え方に沿って進められるもの。マネジメントされるものです。自由裁量でできることと、一定の組織ルールに沿って適切に実施されるものの区別をし、管理者によってマネジメントできる仕組みであることが重要です。

もし、あなたの会社で、ファイルデータの保管フォルダーがぐちゃぐちゃになっているのなら、マネジメント全体もぐちゃぐちゃになっているかもしれません。管理者の皆さんはぜひ検証してみてください。

デジタルなのにアナログ???

今の職場では、日々の業務を「日誌システム」を使って記録しています。

電話のやり取りやメール送信、会議の記録や支援内容など多岐にわたる業務を記録化しています。

月間1000件ほどの入力の実績があります。当事者支援の記録が、時系列で記録されていて活用しがいのあるデータベースになっています。行政への報告も自動集計され画面上では見やすくなっています。
しかし、残念なことに、これがかなり厄介な代物なのです。

開発は、ある会社に委託したのですが、結果的に、個人SEへ丸投げされてしまい、そのSEとは音信不通になり、不具合があっても修正すらできない状態なのです。

委託した会社はまだ存在していますが、無責任極まりない。

不具合の修正については追加料金が必要だと言い、しかしながら、結局、開発者がアクセスコードを秘匿したため、手が付けられない状態にもかかわらず、今もまだ堂々とシステム管理の委託を受け負っている有様です。

今日も、そのシステムを使って、行政委託事業の結果報告のデータを作成したのですが、収納されているデータを吐き出す事が容易でなく、結構時間が掛かりました。

具体的に言うと、ある特定の特性を持つ個人に関する情報を月度単位で数値化するだけなのですが、基データから抽出する方法が限定されていて、なおかつ、個人名が出力できない。結果、一人ずつ指定した期間の情報をエクセル表にコピーして、名前を後付けで入れ、さらに、そこに対応情報を追加する作業が発生するのです。
デジタルデータを一旦表に移して、1件ずつ検証しながら、追加情報を入力し、集計する作業という事なのですが、殆んど紙ベースのデータを写していくのと同じ労力が発生してしまいます。
個人名が出力されないのは、「個人情報保護のため」というのが件のシステム管理会社の言い訳なのですが、それなら、システムの中で集計作業ができるよう、管理画面を設定すべきです。そんなことも判らない管理会社ってそどうなんでしょう?高い顧問料を払っているのであれば、ほぼ犯罪です。
デジタル化しシステム化することは、業務の合理化効率化に貢献して初めて効果があるはずです。非効率な仕事を強いるシステムというのはもはや有害ではないでしょうか?

そんな事を組織の中で発言していたので、時には厳しい批判も受けましたが(パートの分際で噛みつくのはもちろん問題だとは判っています)、この度、ようやくシステム変更の許可が出ました。

今度導入するシステムは、こうした轍を踏まないよう、しっかり吟味します。
仕事は、事業所単位で特性があります。広い汎用性のあるシステムは馴染まないところも多々あるはずです。

だからこそ、使う人の目線でカスタマイズでき、制度変更などへも柔軟に対応できるようなシステム設計を求めたいと思います。

ちなみに、今、私たちの組織のシステム管理・情報管理の顧問は、「google大好き」な御方で、google活用は確かにネットワークの面では非常に優れていると思いますが、私たちの業務を知らないため、無用なネットワーク活用を推進しようとしたり、基礎さえも学んでいない職員に当然のごとく、googleの様々なシステムを押し付けたりするのです。

顧問なら、各事業所を回って、職員へ丁寧な教育・指導を行うべきですし、現場の仕事をもっと知るべきでしょう。そうした意思は微塵も感じられません・(まだ随分と若い人なのですが、余りにも視野が狭い。将来に不安を感じますね。)

カスタマーファーストという基本姿勢ができていないとしか思えません。

個人的には、そういう御方には早々に退場いただくべきだと考えています。

業務マニュアルと業務プロセス④個人情報管理について

 私が働いているところは、センシティブな個人情報を日常的に取り扱っています。秘匿すべきものも多く、情報共有が難しい事が理解できます。しかし、一部のセンシティブ情報が、紙ベースで部内で公開されている実態があります。本当に恐ろしい状態です!!
この点は、何度も問題にし、改善を求めてきました。しかし、その度に、「情報はみんなで共有しなければならないので公開が必要です」という言葉が返ってくるだけで、「紛失によるリスク」には特段の留意はされない様子で、一向に改善されませんでした。

ちなみに、公開情報には、他の事業所からの広報物、新聞、通達や研修案内、会議案内や指示書等、とにかく、あらゆるものがあります。
公開用ボードが10枚以上ありますが、それが足りなくなるほどの量があり、休んでいる人の机の上には山積みになっているのが実態なのです。
一回りして、最後に私の手元に戻ってくるころには、研修や会議、通達などの日付が切れてしまっている(経過している)ケースも少なくありません。
はっきり言って、時間経過で情報価値が損なわれている事も多いのです。(これについては別に考えることにします)

さて、「共有されない情報がある一方、公開される情報が存在する」という矛盾について考えます。
理由は明確。専門職の集団であるためです。

 専門職の多くは、担当する「当事者(相談者)」については、支援や相談業務を通じ、占有しているという感情が生まれがちで、ほかの人では適切に対応できないという自負をもつようなのです。高度な専門性を持つ職種となると一層際立ってきます。一方で、他から得た情報は、「参考」程度の情報という意識に陥ります。自分が知っている情報が正しく重要であるという意識です。
第3者から見れば、どちらの情報も同じレベルのセンシティブな情報なのですが、自分の情報化か、他人の情報かで、扱いに差が生まれます。
私は、この事業所の事務的な業務を中心的に担う立場です。外部から得た情報を記録し保管する役割があります。
多くの職員は、個人情報に該当する場合、私のところへ提出し、個人情報管理表への記載作業を依頼します。しかし、一部の専門職は、そういう事もせず、自分で保管しようとする。個人情報管理規定にはそういう点は厳しく禁止していますが、高度な専門職にある人は「自分は対象外」という変なプライドを持っていて、規程よりも自分のスキル・手法を優先しがちです。こうした動きを他の職員も目の当たりにしていて、結果的に、各自勝手に作業してしまうため、「紙ベースの個人情報の共有」などという恐ろしい現実が生まれているのです。

被害者は「当事者」ですよね。
もし仮に、部内公開中に、どこかの資料に紛れ込み、外部に持ち出されて、無関係な人の目に触れるようなことがあれば大問題です。その人を知る人物がその情報を見てしまうとさらに深刻な事態に陥るかもしれません。専門職としての信頼を一気に失う事になります。
そういうリスクがあるという認識が共有されない組織は怖いです。

ここでも不正(不祥事)のトライアングル思考で「機会・動機・正当性」の条件を揃えない、情報管理上のリスクを想定したマニュアルにする事が重要です。

だからこそ、法人が定める「個人情報保護規程」をもとにした、事業所毎の「個人情報取り扱いマニュアル」が定められるべきなのです。そしてそれを全員に周知し、例外なく徹底することが重要だと管理者は認識すべきです。 

ふと思い出したこと・・
町内自治会で「回覧物」というルールがありますが、どうお考えでしょう?
今年、町内の組長をしている関係で、最近、ご高齢のご家庭から「自分の家には関係ないものばかりだから、回覧順から名前を外してください」とお願いされました。
自治会自体、区域内加入者は、半数にも満たない状態で、8割以上が高齢者世帯です。回覧板を回すために、隣まで歩いて持っていくことも厳しい(私の町内は少し家が離れている人が多い)方もおられます。ゴミを集積場に持っていくのも大変な作業になりつつあり、そのうち、町内(組の中)のゴミ収集という仕組みを考えなければならない時が来そうです。

話を戻します。

先月は、3回、回覧がありました。1回は広報物(学校や民生委員?)1回は電柱工事に関する注意案内(町内)、1回は家の新築工事に関するお知らせ〔町外〕でした。件の方からすれば確かにほとんど無関係なものかもしれません。
その前の月に、神社・氏子に関する案内を回覧した時には、町内のたった1軒だけがその神社の氏子となっている事が判り、自治会とは別で配布すべきではないかと思いました。

「回覧ではない形で情報を伝えることはできないでしょうか?例えば、皆さんが必ず行く場所、ゴミステーションに、掲示板を設置するとか、何でも回覧ではなく、それぞれの団体が戸別配布するよう要請するとか・・・」

自治会でそういう「改善提案」をすると、また、「移住者は勝手なことを言う」と冷ややかな目で見られそうですが・・・。
実際、町内の回覧物、どれほど目を通していますか?
それほど重要な情報は届いていますか?
本当に重要な情報なら、「ワクチン接種」の様に個別に郵送されてしかるべきではないかと思うのですが・・・。

業務マニュアルと業務プロセス③PDCAの視点

 マニュアルは作成したら、周知し、習得(訓練)することが重要です。(QMS/EMSの導入では、システム・規程・マニュアルを作って終了・審査に通れば良いという思考に陥りがちですが)
 そして、運用実績をもとに、次のプロセス(この場合、相談支援)への成果物のチェックをし、品質向上させるための見直しができる仕組みを作っておかなければなりません。
 いわゆるPDCAサイクルの運用です。
 マニュアル作成と教育訓練は、Pの段階。マニュアルに基づいて、業務が行われるのがDの段階。一定の期間を経て、実績の振り返り(手順・成果物)がCの段階。そして、見直し改善がAの段階。
 マニュアルが有効に機能しないのは、実は、Pにエネルギーを費やし、運用後の評価と見直しができないからです。そしてそれは、マニュアルを定める管理者の責任です。
 今の事業所でも、定められたマニュアルは一度も更新されていませんでした。というよりも、職員自身、その存在さえ知らないというものもありました。中には、同じような名前で「マニュアル」とは別に、「注意書き」が作成されているものもありました。
 言葉を選ばずに言うと「ここは、仕事をする場所ではない」「皆、自由に自分のやり方でやって下さい」「管理者は必要ありません」というような職場と言われても返す言葉がないと思います。

 職員は皆、真摯に毎日の業務に向き合っています。
 中には、こなせないほどの多くの量を抱え、毎日残業という職員もいます。
 特定の専門職は、情報を秘匿する事を是としていて、知らない職員が、無用な業務を行う事も多々あります。
 
 だからこそ、それぞれの業務が、リスクコントロールされ、効率よく運用できるようなマニュアル整備は重要です。
 そして、管理者によって、絶えず、評価と見直し(改善)がされる事が重要なのです。
屋上屋の様になりますが、そのためには「業務マニュアル管理規定」を定めて、法人共有のマニュアル、事業所固有のマニュアルの種類や名称を「マニュアル文書登録表」に登録し、それぞれの管理者を定め、一定期間で確実に見直しするという条項を盛り込むことが必要になります。
 意外に、こうした組織上の文書管理に関する取り決めが弱いところが多いのです。特に、NPO法人では、代表ひとりの意向が組織全体を統率しているケースが多く、規程やマニュアルの整備が蔑ろにされている所も少なくないでしょう?
 自らの組織を、未来に向け、強化し、継続できる様にするために、業務管理システム・マニュアル整備は重要だと思います。それは、組織を代表する経営トップの責任でもあると思います。
 
 内部監査をやっていた頃、予備調査で、事業所の資料取り寄せを行い、精査していました。その時、業務マニュアルも精査対象でした。
 誤字脱字は言うまでもなく、管理者がマニュアルにどう向き合っているかも重要な監査ポイントでした。
 監査指摘では「マニュアル通りに運用されず、○○のミスが発生(あるいは○○のリスクが予見)」と書くことがあります。
そういう指摘に対して、管理者は言い訳のごとく「マニュアルが実態に合っていない」と言います。でも、それって、「管理者自身が真面目に仕事をしていませんよ」という事と同じなんですよね。有能な管理者は、実態とマニュアルを照合し、より有効なものに改善していくべきなのです。

これを書きながら、昔のことを思い出しました。
今から40年前。生協に就職した時、「運転免許をもっていれば明日から配達に行って」と言われました。勿論、冗談ですが、当時はそれくらい、共同購入事業が拡大し人手不足で、運転さえできれば良いくらいの勢いがありました。案の定、新人は、大抵、交通事故を起こし配達トラブルが生まれます。幸い私は、無事故で過ごしましたが、中には痛ましい「人身事故」を起こし、仕事を辞めて行った者もいました。
余りに事故が続くため、コンサルタントが入り、安全運転推進委員会が作られ、安全運転研修が始まり、運転におけるマニュアル(車両に乗り込む前からの手順)も作られました。徹底した管理者による指導が始まったのです。
その甲斐あって、事故は徐々に減少しました。ただ、次第に、訓練やマニュアルが形骸化し、「パート配送」が始まった時には再び事故が増加したのです。
トラックという車両特性を理解していない女性パート職員に対して、従来通りの教育訓練では充分ではなかったのです。やはり、絶えず、マニュアルや教育訓練の在り方を見直し、改善し続ける事が重要だと今になって感じています。
 

マニュアル作成と業務プロセス②リスク視点

業務プロセスには必ずリスクが存在します。

 例えば、電話受付で「重大・緊急な事案」がキャッチされた時、速やかに対処すべきです。119番・110番通報に近い内容を聞くこともあります。
 その際、どうすればよいかが定められていない、あるいはそういうことを想定していないと禍根を残すことになります。

 苦情(クレーム)もあります。
 ただ、それが事実に基づくものかどうか、いわゆる「カスタマーハラスメント」に該当しないかという視点がないと、問題をより大きくしてしまいます。

 電話は相手の顔が見えないため、耳からの情報に頼ることになり、面接・面談に比べて、偏った情報をもとに対応しているため、ミスや事故につながるリスクが高いと認識しなければなりません。(情報の7割は目からであり、耳からの情報は全体の2割しかないという考え方で対応する事。電話・音声に頼るのはリスキーな事だという前提で)

 こうしたリスク認識に基づいた、電話受付マニュアルを構築しなければならないわけです。

 皆さんも、様々な事件報道で、初動の対応ミスが取り沙汰されているのはご存じでしょう。子どもの虐待死事件では、児童相談所等への通報とその後の対応の甘さが問題になったり、ストーカー被害についての警察の初動ミス等の問題は、またかと思うほどに出ています。もちろん、当事者はそれなりに判断して動いているのでしょうが、そこには個人任せになっている問題があるはずなのです。組織としての考え方を明確なマニュアルに示していない事が最悪の結果を招くことになるのです。
 リスクを認識して、マニュアルを構築することは極めて重要なポイントです。

さて、そうした視点で、自らに振り返ってみましょう。

手元にある、電話対応マニュアル(以前の所長が作成したもの)の記載は、2回コールで出る、メモを取るといった、子供に電話のかけ方を教えるようなものです。これでは、前述のような事態には対応できず、一旦保留して、所長に繋ぐのが精いっぱいでしょう。それさえも定められていませんから、担当者によって、対応はバラバラになるはずです。まさに、リスクが放置され、個人に責任がかぶせられる状態です。
 さて、どうするか・・・。

①まずは、「初動判断」というプロセスを追加しました。

「緊急性・重大性はないか、苦情ではないか」という判断プロセスを明記し、見過ごしを防止するのです。そして、そういう事案に対しては「緊急・重大事案対応」と「苦情対応」の2種のマニュアルを整備する事にしました。聞き取り用紙は共用できますが、その後の処理が違ってくる形です。

②そして、個人で抱えないために「情報共有」するプロセスも加えました。

私の事業所では、相談記録システムを使用しています。架電や受電、メール受信送信、面談面接と言った一つ一つの作業を記録するシステムです。そしてこれは、職員全員が閲覧できるものです。

 従来のマニュアルでは、電話記録はメモ紙に書いて渡すことになっています。実際には、メモだけでなく、伝言し、後日、記録システムに入力するという形でしたが、これでは情報の共有ができません。
 「緊急重大事案」や「苦情」はより多くの職員で共有することで、その後の対処の仕方の精度が向上します。そのためにシステム活用する事をマニュアルに明記しました。

 リスク視点は、様々な業務プロセスの基本に置くべき視点です。
 皆さんも業務マニュアルを「リスク視点」で再評価してみてください。きっと改善すべき箇所が多数見つかると思います。(PDCAのC)

 内部監査業務をされている方には、耳タコかもしれませんが・・・
 監査では、リスクマネジメント視点で「残存リスク」のコントロールを評価しなければなりません。
 特に、重大リスクに対して適切なコントロールが存在し、マニュアルで明記され、適切に報告や連絡が成されるシステムになっているか、職員への教育訓練が適度になされているか、しっかり監査していただきたいと思います。(リスク防止は内部監査の基本的役割の一つですから)

業務マニュアルと業務プロセス

今、職場の業務マニュアルの見直しと新規作成を手掛けています。
現在の職場で1年ちょっとが過ぎてようやく業務全体が見えてきて、これまでの業務マニュアルを見てみるとこれがかなり酷いことが判りました。以前に作成したのは、5年ほど前。当時の所長が作成者となっていました。正直、これを見た時、当時の所長は、業務マニュアルの必要性を全く感じていなかったんだろうと思えるほど稚拙で穴だらけ、それをそのまま使っていたと考えるとぞっとします。
ただ、これまで大きな問題やリスクが顕在化しなかったのは、一人一人の職員(相談員)が、専門職としてのスキルを身につけていて、マニュアルなど使っていなかったためだと思います。現に、今でも、専門職の皆さんは、自分流のやり方を貫いていて、「唯我独尊」的な仕事の仕方をしているところを強く感じます。・・職人さん集団とも言えるでしょう。
ただ、中には若い職員(専門職としてこれからスキルアップしなければならない)もあり、業務の標準化やプロセス管理をしっかりしていかなければ、組織としての力量は保てませんし、次世代の育成は進みません。
今の所長は、そうした職場課題を意識して、業務マニュアルの整備を進めようとしています。

自分自身は、内部監査時代に、各所で業務マニュアルを監査基準の一つとして、実際の業務が適切に実施されているかを検証する立場であり、マニュアル作成の経験はQMS/EMS(品質と環境マネジメントシステム)構築の際に携わった範囲でした。

業務マニュアルの作成に当たって、いくつか留意している点がありますのでご紹介します。

 業務(仕事)は、単独では存在しません。一つの業務には、必ず、次の業務が存在します。
 例えば、電話受付の業務から、次は顧客対応へ、顧客対応から発注・受注プロセス、製造プロセス、納品プロセス、会計、経理、決算・・入口から出口まで見通したうえで、細分化して捉えたものが、一つのマニュアルとなるという視点です。

今回は「プロセス管理」の視点です。

 私の職場では、電話受付(相談受付)[→]相談支援(面談・面接)[→]関係機関調整[→]福祉サービス利用[→]モニタリング[→]行政報告といった具合になります。
 こうしたプロセス全体を理解すると「電話受付」業務が、どんな成果物を要求されているか判ります。すると、次のプロセスが必要とする成果物を間違いなく作る事ができるための「マニュアル」でなければならないということが判ります。極めて重要な業務なのですが、
 今あるマニュアルには「2回コールで出る。」「お電話ありがとうございます。○○の○○です。」と答える。など、まるで子どもへの躾のような記述が続き、「メモを取る」「メモを渡す」で終了しています。取次さえできれば良いというレベルのマニュアルなのです。
 相談支援(インテーク)へつなげるために最低限どういう情報が必要なのか、という視点で再構成しなければなりません。

 そう考えると、「2回コールで出る」とか「○○の○○です。」と答えるなどという今のマニュアルが、如何に稚拙か判ると思います。これはむしろ、ビジネスマナーのレベルであり、そうした事をマニュアル化しなければならないと認識していた、前職は、職員をかなり馬鹿にしているとしか思えないのです。

 「次の業務プロセスが求める成果物を確実に作成する」という視点で、業務マニュアルを見直してみてはいかがでしょうか?

 ちなみに現在作成中の「電話受付マニュアル」では、「聞き取りのポイント」を明示しています。氏名・電話番号(ディスプレイ表示あり)・住所などの基本情報に加え、要件(主体者・主体者との関係・主訴・依頼要件等)を明示しました。そして、それに基づき、記録化(システム入力)と報告までをマニュアルに盛り込みました。

 
 そう言えば、今から40年近く前、私が就職した時、新人研修の一環で、総務部研修というのがあって、1日電話の前に座って、コール2回で取って、「お電話ありがとうございます。○○生協の○○です。」という訓練がありました。ただひたすらそれをやり続ける、もはや拷問です。今なら「ハラスメント」と言われかねない。新卒採用者はそれほど社会通念上必要なマナーが身についていなかった時代の遺物だと思います。
 ビジネスマナー研修でも、時々、時代錯誤の内容もありますので注意が必要でしょう。

 次回以降、業務マニュアル作成に関して、リスクマネジメント視点、PDCA視点、そして、マニュアルの有効性を高める工夫などをご紹介していきます。

安倍殺害事件とマネジメント

大事件というのは、やはり、想像を越えたところで起きるものですね。
私は、安倍氏や自民党の支持者ではありませんし、アベノミクスやコロナ対応についても評価はしていません。むしろ、彼がやってきた「政治屋」「3代目」としての罪について問い質したい立場です。しかし、だからと言って殺害するという暴挙を許すことはできません。
今回の件について様々報道が続いていて、旧統一教会についてもようやく社会的な制裁が加えられるところに向かっているように思いますが、それだけに目を奪われ、ほかの怪しげな「宗教団体」についてもぜひ、厳しく批判される社会になってほしいものだと思っています。
前提論はこれくらいにして、今回の本題。この事件をマネジメントの視点で考えてみたいと思います。

一つ目は、犯人について。
事件を起こした事=不正・不祥事と捉えてみると、やはり、「不正のトライアングル」が存在していたのが明らかです。動機と機会と正当性の3条件が揃ってしまった。
動機は、「報復」旧統一教会にめちゃくちゃにされた人生・家族への恨みとそれに関与していた標的への報復。
機会は、実行しやすい環境が整ったこと。遊説が身近で行われ、なおかつ、手薄な警護体制が明白だったという事でしょう。
正当性は、自分がこんなになったのは自分のせいではない。旧統一教会のせいであり、復讐するのは当然であるという思想。
そしてなおかつ、彼の身近にそういう状態を注意し制止する人が居なかった孤独が根底にあったという事でしょう。
コロナの拡大で、再び、人々が孤立する環境が広がっています。収入の不安が高まり、生活困窮する人も増加するでしょう。ストレスの増加でトラブルも増えるに違いありません。不正・不祥事の発生リスクは高まっているのだという意識でいることが肝要です。

二つ目は、リスクマネジメントについて。
過去、大物政治家が命を狙われるという事件は何度も起きています。そして、遊説で発生する事は少なからずあるわけで、そのためにSPが警護する体制が出来たのです。でも、防げなかった。安倍の周囲にそういうリスクについて考えていた人は居たはずです。警視庁も奈良県警もそれなりに緊張感をもって望んでいたはずです。それでも事件は起きた。
例えば、今回は「手製の銃」が使用されていますが、あの場所で、安倍の命を狙う方法はいくらでもある。例えば、ダンプで遊説場所に突入するとか、周囲の建物からライフルで狙うとか、恐らくそういう想定はされていたでしょうし、遊説開始前に多くの警察官が動員され、周囲に監視の目を向けていたはずです。それでも事件は起きた。それも、あまりにも稚拙な警護を見せつけるような形で起きた。
多くの人が、SPが身を挺して守れなかったのかとか、どうして後方が手薄になったのかとか、疑問を持たれていると思います。こうしたことは一つ一つ検証され公表されるでしょう。(解明される頃には関心は低下しているでしょうが)
リスクマネジメントの基本は、「影響度✖発生頻度」の値をもとにリスク評価をしてコントロールを確立することです。(私は、「影響度✖発生頻度÷統制度」でのリスク評価をお勧めしますが・・)
当局は、今回の事件の、発生頻度を極めて低く評価していたのではないかと考えます。実際、長崎市長襲撃殺害事件が2007年ですから、15年近く同様の事件は起きていないことになります。国会議員となると2002年石井衆院議員ですから、20年前。警護に当たった警官の多くは、知識として知っていても、実経験を持ってない人ばかりだったはずです。そういう点からみると、やはり、組織的に今回の警護計画を指揮していたトップ層の危機意識・リスク意識に問題があったと言わざるを得ないと思います。

今回の事件を、単なる政治の世界の話にするのではなく、リスクマネジメントや不正防止という点で考えてみてはいかがでしょうか?

コロナ第7波とリスクマネジメント

また、コロナ感染者数が増え始め、第7波と判定されたようですね。
日本はウィズコロナ政策で、経済と感染予防の両立を目指す方向に舵が切られていますが、かなり難しい道を選択したと言えるでしょう。
とはいえ、一人一人が徹底した感染対策を行う事が最大の鍵になることは明白です。それを助けるための支援策や規制・新たなルール作りが必要だと思います。
企業・組織においても同様です。リスクマネジメントの視点で考え、有効な対策を準備することに尽きると思います。
おそらく、多くの企業・組織において、コロナによる経営的な損失は現在最も重要なファクターであり、コロナ感染者を出さない対策に躍起になっているはずです。
組織の状況をいくつかのフェーズに分け、その際の事業・業務の取捨選択のルールを定め、本部統制機関による指示命令も明確にされていると思います。

私の勤めているところでも、フェーズ設定され、コロナ感染者が出た場合、事業所の業務停止や、他事業所の行き来の禁止、外部との接触制限など細かく決められています。
昨年、このルールが定められてから、実のところ、2度ほど運用する状況に陥りました。(コロナ感染者の発生)
最初の発生時には、ルールに照らして厳格に運用され、行政機関(保健所)の指導のもと、早期に回復することになりました。
「PDCA」の「PとD」を経験したことになります。ただ、残念ながら、Cが進みませんでした。

リスクマネジメント委員会では議論されていたようですが、それは実のところ不十分です。発生は現場ですし、対策を講じるのも現場です。現場に一人一人の構成員が我が事として、振り返り、課題を見つけて改善する事に繋がらなければ、CもAも進まないのです。
結果、2度目の発生時、以前と同様に、本部へ指示を求めざるを得ない事態になりました。自律的にマネジメントできない事となったわけです。これでは、リスクマネジメントの意味がありません。
前回の発生時に、定めたルールが適切だったか、具体的な手順は妥当だったか、改善すべき点はなかった、そうした議論が徹底的になされていれば、このような事態にはならなかったと思います。
階層的な組織体制を敷いている法人組織が陥りがちな失敗を重要な局面で起こしていると言わざるを得ません。
これは、経営層の責任です。
リスクマネジメントは全社的に取り組むべき統制システムであり、構成員一人一人が自律的に判断し、事業所単位で合意形成したルールを組織で取りまとめていくという基本部分が欠落しているのです。

コロナと付き合い始めて時間が経過する中、様々な状況変化は起きています。
国の施策も大きく変わりました。
一度作られたマネジメントシステムは、その場からどんどん腐り始めるという普遍的な特性を理解し、常に、見直し、改善し、周知する覚悟こそ重要だと思います。
今一度、コロナ禍におけるリスクマネジメントについて、現状で有効なのかを見直してみる時期になっているのではないでしょうか?

高齢者だけでなく、障がいのある人や難病、病気と闘っている人など、コロナに対して命の危険にさらされる「コロナ弱者」は少なからず存在します。
そうした方々を守るために、何をすべきか、そういう視点で見直してみる必要があると思います。