カスタマーハラスメントの研修から

昨日、カスタマーハラスメントに関する研修を受けました。ハラスメントとは何か?その対処法は?組織としての対応・対策の在り方は?が大きな柱でした。
ハラスメントは「嫌がらせ・いじめ」という定義づけ、それは関係性や場面などの要素に基づいて、受ける側の判断であること。
カスタマーハラスメント=顧客からの嫌がらせという概念、当然、受ける側は職員・社員であり、その結果、メンタルの不調から休職・退職へ繋がるリスク、放置すれば組織の損害に繋がること。したがって、組織として、カスタマーハラスメントへの対処方法・・ルールなどを定めて、スタッフプロテクションシステムを構築することなどの内容でした。

一通りの内容は、それ自体、かなりまとまっていて、至極当然な内容でした。これを聞いた管理職の皆さんはおそらく、すぐにもスタッフプロテクションシステムの構築に取り組まなければならないと思われたはずです。

研修を受けた後、私なりに考えてみました。

私は、30年ほど前に、生協の品質管理室・クレーム管理課長に就いていました。その頃はまだ、ハラスメントという概念は定着していませんでした。ただ、毎日200件を超えるクレーム・苦情を受ける部署の管理者でしたから、悪質なクレーム(クレーマー)に遭遇するケースは山ほどありました。
当然、クレーマーへの対処方法は、組織内部で共有していましたし、担当者任せにせず、必ず、課長対応にするルールでした。
生協は、組合員が対象であり、基本的に、「暮らしを良くしたい」というニーズを持っている方々の集まりですから(いまでは随分様変わりしているようですが)、それほど悪質なクレーマーは居ないと組織トップ(役員)は考えていたと思いますが、現実は違います。私自身、3年間の着任期間中に、「誠意を見せろ」とか、高額な金銭の要求、「土下座しろ」とか、時には「水を掛けられる」等という今思えば、かなり厳しい対応場面に何度も遭遇しました。大半は、組合員である奥様ではなく、御主人のケースが多いのですが、それでも、一応の解決に至るよう努力していました。おそらく、今なら、確実にカスタマーハラスメントに認定されるでしょう。

その後、いくつかの部署を経験し、最後に、「内部監査」となったわけですが、その時、、やはり、事業所の監査では、この「カスタマーハラスメント」の問題はかなり重要な項目になっていました。不正の監査同様、、この問題も組織として重要なリスクと認識されるようになっていたので、細かく監査を行っていました。

研修会では、スタッフプロテクションシステムと呼ばれていましたが、要するに、組織や職員の防御策のことです。トラブルをレベル評価し、だれがどのように対応するかを定めるということを基本に、「担当者(職員)が一人で抱え込まない」システムにするのが鍵でした。

私も内部監査の時には、同様の指摘や指導をしていましたが、少し違いました。

重要な事は「悪質なクレーム(ハラスメント)を作らない事」です。
リスクマネジメントの考え方を用いて、小さいうちにコントロール(統制)する事こそ重要だと考えます。
今回の研修は、福祉事業に携わる皆さんが対象でしたので、ハラスメントは、利用者と家族が職員へ行う行為となります。したがって、利用者やその家族と職員の関係性が正常かどうかが重要な視点になるわけです。サービス提供の規定を超えるような要求とか、ミスを取り上げて賠償を要求するとか、特定の利用者を特別扱いするよう要求するなどといったことがカスタマーハラスメントになると言えます。(訪問サービスでは、暴力やセクハラなども内包する可能性があります)

こういうことが起きないような正常な関係性が築かれているかを、管理者は絶えず注意しておくことが重要だと思います。そのためのチェック体制・ルール・手順などの構築こそ重要ではないでしょうか?

カスタマーハラスメントが発生してからの対応は、事故発生の事後処理に似ています。火消にしかすぎません。
むしろ、火種を見つけて消していくことに注力すべきだというのが、研修を受けた後の感想です。
日々の業務について、例えば業務日報や介護記録等に細かく目を通し、小さなトラブルや変化に注意し、対象職員から話を聞くことを習慣づければ、大きな問題になるまでに対策を取ることが可能なはずです。

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