パワーポイントの活用⑦アニメーション効果

講習会や研修などで、パワーポイントのプレゼン中、映し出された画面で、文字が浮かび上がったり、映像が立ち上がるように出てきたりするのを見たことはありませんか?
あれが、アニメーション効果です。内容よりもその動きにつられて画面に釘付けになる事もあり、良いか悪いかはその場次第でしょう。気難しい会議などではあまり受けないかもしれませんが、事例報告会とか交流会のような場なら、意外に評価されるかもしれません。


例として、次のスライドにアニメーション効果を付けます。


1)から6)の項目を順番に浮かび上がるようにします。
まず、アニメーションタブを選択します。すると、下記の様なコマンドが出ます。


そのあと、右上にある「アニメーションウインド」をクリックすると、右画面にアニメーションウインドウが開きます。何も設定されていない状態だとそこは空白のはずです。


次に、アニメーション効果をつけたい部分をクリックします。例のスライドだと、プレースホルダー(テキストが並んでいる部分)をクリックします。すると、アニメーションタブの★マークに色がつきますので、つけたい効果(今回はフロートインにします)をクリックします。

すると、右(アニメーションウインドウ)に「コンテンツプレースホルダー」が表示されました。


これで、プレースホルダー内にあるテキストがフロートイン(浮かび上がる)効果がつきました。そして、そのテキストの横に1から6の番号がついているはずです。これがアニメーション効果がある印になります。


今回はプレースホルダー全体で設定しましたが、これはかなり細かく設定ができます。テキストの一カ所だけとか、グラフや図だけとか、表題にも効果をつけることができます。たくさんある効果がどんなものかは作成しながらプレビューで確認すると良いでしょう。


さらに細かく言えば、効果の開始タイミングや時間・スピード、順番なども自在に変えられますので、時間があれば試してみると良いでしょう。

ただ、この作業、結構手間が掛かります。タイトル(見出し)部分、プレースホルダーの中の「テキスト(行単位)」や挿入部分などの一つ一つに「アニメーション効果」が設定でき、アニメーションの形(動き)や開始のタイミング、順序等を設定することになります。パワーポイント本体を作る以上に時間が掛かる作業にもなりかねません。
ですから、特に強調したいところに重点的に使うのが良いと思います。研修会のPPであれば、参加者が一緒に考えてもらうような場面で、最初は白紙の部分に一つ一つテキストが現れるようにするというのはどうでしょう。予算会議などでは、2つの試算を比較する時にAとBとを順番に見えるようにするとか、より重点的に見せたい場面に設定することでインパクトのあるプレゼンになるはずです。

パワーポイントの活用⑥挿入

いよいよ、如何に見せるかの作業に入ります。

パワーポイントの強みは、画像挿入・グラフ挿入等、テキスト文書以外の視覚効果を得られる要素を自在に挿入できる事です。
ワードやエクセルでも使えますが、挿入したものに動き(アニメーション)が付けられるのでより効果的に見せることができます。
挿入は、「挿入」タブからできますが、PPの解説本などを見ると「プレースホルダ」内にある記号をクリックする事としています。どちらでも同じ作業になります。

表・画像・スクリーンショット・フォトアルバム・図形・グラフ・テキストボックス・ワードアートなどをクリックすると作業ができます。
白紙のスライドの状態。
中央にあるコマンドをクリック(表・グラフ・画像など)
して作業を進めることができます。


挿入できるのは、表・エクセル表・画像・図・グラフ・テキストボックス・ワードアート・リンク・ビデオ・オーディオ等、殆んどのものが挿入できます。挿入したいものをコマンドクリックで選んで作業を進めます。

上記は、表紙スライドに「野菜の画像」を挿入した例
上記は、スライドに「図形」「画像」「テキストボックス」などを挿入した例
表とグラフを挿入した例

ただし、ビデオは大変大きなデータになる可能性がありますので、もし、USBメモリーを使用する際やパソコンのスペックが低い場合などは注意が必要です。以前、講習会様に講師に依頼したパワーポイントで、ビデオファイルが挿入されたものがあり、メールで送付いただいたのですが、ダウンロードに時間が掛かって途中でエラーを起こして大変な思いをしました。ビデオに限らず、写真などを多数挿入する場合、基データを軽くする前処理は忘れずにしてください。
挿入した図や表・グラフ等は、配置や大きさは自在に変換できますから、まずは挿入してみて後で配置は考えればいいと思います。時には、アニメーション効果(後日解説)を使って、あとからスライド上に表示されるというのも面白いです。あまり凝り過ぎると、修正の際にも苦労しますのでほどほどに。

ワードの活用でも述べましたが、挿入で、エクセル表を使うと便利です。元になるエクセルファイルがあれば、それをコピー&ペーストすれば良いだけです。セルの幅や高さ、不要なところを隠したり、加工がしやすいので、私は多用しています。基データとのリンクをしておけば、連動させることもできますし、そのまま、そこからグラフにも展開できますし、数値修正がしやすいのも魅力です。

パワーポイントの活用⑤文字入力

ざっくり、全体の構成を入力したら、いよいよスライドの内容を作っていきます。

ここからは、プレゼンを前提に進めていきます。

プレゼンでは如何に印象付ける事ができるか、視覚に訴える事が重要です。ですから、文字は極力簡潔にすると良いでしょう。文章を長々と入れるのは手元資料で充分です。
講習会や研修会で、事例報告をされる場面がありますが、せっかくパワーポイントを活用しているのに、手元資料と同じスライドを映して、それを読み上げるだけという事があります。非常に残念な使い方(時間の浪費)です。

要点を絞り、言いたい事・伝えたい事を簡潔に表現する。
一つは、見出し(タイトル)。
パワーポイントのスライドの基本形は、上部に見出し(タイトル)、下部にプレースホルダー(枠)になっています。


タイトル部分は、各スライド共通性を持たせた字体・フォント・色が好ましいでしょう。40ポイント以上だと映し出した時、見栄えがします。タイトルですから、できるだけ短い表現(文字数)が好ましいです。

二つ目には、プレースホルダーのテキスト部分の文字の表現です。
主は26ポイント程度で1行35文字前後。箇条書きで端的に表現します。
さらに補足説明を加える時は、「段落を1段下げる」を使います。

すると、前の行より一つ小さめのポイント(22ポイント)に自動で変換しますので、それを使うと良いでしょう。

強調したい部分だけ、色を変えるか強調するのも忘れずに。箇条書きには、頭記号か数字・ABCを選択できますので、内容に応じて使い分けします。

操作としては、ホームタブの書式設定コマンドを使います。

字体(フォント)・大きさ、強調・斜体・アンダーライン、文字色、さらに、行頭記号(記号・数字)等、ワードの操作とほぼ同様にできます。行間や配置なども使用しましょう。
それぞれのコマンドがどのような機能かは一度試してみましょう。

ここから、実際に作成したパワーポイントをもとに解説していきます。あくまで参考用ですので、内容の良し悪しは置いておきます。

下のものは、高島フード倶楽部設立に向けた企画提案PPです。

全体は20スライドあり、表紙と2ページは以下のようになっています。

次は、3ページ目です。

作成例(ちょっと字が多・スライドを分けた方が良いかも)
二つに分けてみました。行間も取れて見やすくなりました。SDGsの説明が必要かも・・
ポイントだけを整理して「解説スライド」を作成


なお、基本になる文字の色やフォントは、テーマ(デザイン)を選んだ時に設定されますので、先に1枚スライドを作ってみて、全体のバランスを見るというのも良いでしょう。全部作り上げてからデザインを変更すると配置が崩れてしまうことがありますので、注意して下さい。(例示したPPは、無地で作成しています。)


文字数が多くなる要因の一つは、「です。」「ます。」という表現を入れているためです。あくまで、プレゼンですので、端的な表現、例えば○○の実施。○○の展開。等、いわゆる「体言止め」をすると良いでしょう。確信のない表現なら、「?」といった記号も有効です。

パワーポイント作成以前の事ですが、如何に端的な言葉で表現するか(ブラッシュアップ)、象徴的な言葉を選べるかは、自分の中のスキルと知識が試されるところです。

パワーポイントの活用④構成

いよいよ、本格的にパワーポイントの作成作業に入ります。前段の③項目はいわば環境設定の範囲でした。

さあ、どんなものを作っていきましょうか?

私自身、以前の仕事で作ったもので、もっとも手が掛かったのは、「営業用のスキル研修」で使用するものでした。1週間の研修期間(延30時間程度)中に、営業の心得とか、訪問のためのスキルとか、具体的な契約に関する手順とか・・どういう順番で身につける事が効果的かを考えながら、また、個別対面でやり取りしながら指導するためのQ&A、お客様にNoと言われた時の対処とか・・とにかく、あらゆる場面想定しながら、基本を押さえてまとめるという作業でした。ですから、基礎資料を作る事が先決。そこから、コンパクトにPPに仕上げていく、言ってみれば、PP作成作業は研修の準備作業の仕上げのようなものでした。(この作業を通常の営業管理業務と並行して行うことになるのが辛かった)

さて、その時の様に、PPのもとになる資料が既にある場合(資料の要約をプレゼンする場合)、資料の項目(見出し)を先に設定しておくと作業がはかどります。
その場合、「表示」タブで、プレゼンテーションの表示の中にある「アウトライン表示」に切り替え、項目を順次入力していくと良いでしょう。

これで、PP全体の構成が作れます。とりあえず、資料の大見出しを打ち込んでいくと良いでしょう。

白紙のプレゼンを選択すると、1ページ目は表紙になります。プレゼンの名前と作成者(プレゼンテーター名)を入れます。

2ページ目からが本体(内容)になります。
まず、大見出しを一つ入れてみましょう。

そうしたら、改行キーを押します。すると、次のスライドに移行するはずです。同じように、順番に大見出しだけを入力してしまいましょう。


こうしておいて全体をみると、元資料の見出し(項目)設定で、より詳しくプレゼンが必要な個所とか、要約した方が良いところなどが見えてきます。時には、スライドを増やして、グラフや表を表示した方が良いところも見つかるはずです。
資料構成・プレゼンの流れや時間を検証しながら、作成することに繋がります。
ワードで作成された資料があるのなら、PPへ「ワードで作成した目次部分」を「コピー&ペースト」も時間短縮の有効な手段です。
ワードとパワーポイントを2画面表示にして、比べながら作業すると楽にできます。

もとになる資料がない場合(私はそういう方が多いのですが)も、アウトライン表示を使って、プレゼン全体をイメージしながら作業ができるので良いと思います。

下の表示は、最近作ったPPのアウトライン表示です。ちょっとした会話から、「こんなプロジェクトを始めてみないか」との呼びかけがあったので、自分なりのプランを整理するために作成しました。全体は17枚のスライドで構成されています。

大見出し、中見出し、詳細へと順番に入力して作成するとこんなふうになります。図や表などは表示されていませんので、内容(文章)だけを追っていく形になります。ここに、この後、図表や写真・イラストなどを加えたり、動きをつけたりすることでより印象深い内容にしていくことになります。

ちなみに、このPPの「標準表示」は以下のようになっています。

「標準表示」で作成される方が多いように思いますが、そうなると、スライド1枚1枚に時間が掛かって全体像が見えなかったり、修正や補足の作業でいつまでも完成形が見えないなどということになります。ざっくりアウトライン表示を使って「構成」を固めて、注力すべきスライドに時間をかけるというのはいかがでしょうか?

パワーポイントの活用③サイズ

初めの「テンプレート選択」に続いて、注意しておきたいことが「サイズ指定」です。(作成中でも設定はできますが、配置が大きく変わってしまうことがあるので初めに設定しておいた方が良いでしょう)

☆「デザインタブ」を選択し、標準なら「右端」にある「ユーザー設定」の「スライドのサイズ」を選択します。すると以下のような画面になります。


以前のPPでは、この細かい設定はありませんでしたが、新しいバージョンでは、様々なサイズが選択できるようになっています。
単に、プロジェクターでスクリーンに映すというプレゼンのスタイルから、PCやタブレット画面を使って商品説明するとか、そのままパンフレットにしてしまうなど、使用用途が広がっているため、使用方法に適したサイズが指定できるようになりました。

選択したテンプレートスタイルによって、「標準(4:3)」「ワイド(16:9)」のいずれかになっていますが、「デザインタブ➡スライドのサイズ ▼」をクリックすると、小さな画面が開いてさらに細かい選択が出てきます。使用する場面を想定して設定を切り替える必要があります。


プレゼンで使用する場合、「ワイド画面」が良いでしょう。
最近のプロジェクターは、PCから出力される映像データに合わせてスクリーンに映し出すことができる機能がついていますので、一般的なプレゼンスタイルであれば、「ワイド画面」を選択して問題はないでしょう。
タブレットの使用であれば、「画面に合わせる」の中から、タブレットに適したサイズを選択しましょう。

ただ、「サイズ設定」は、手元資料にも関係します。
「ワイド画面」で作成したものは、手元資料にすると幅が広く小さく見える印刷結果になってしまいます。
手元資料優先で考えると、「標準(4:3)」の方が良いでしょう。どちらを選ぶかはご自身で判断してください。なお、手元資料の印刷に関しては、後段で「ひと工夫した印刷」でご紹介する予定です。

それ以外の「スライドのサイズ指定」を見ると、レターサイズやA4・はがきといった印刷も想定した設定ができることが判ります。パワーポイントは単にプレゼン用のソフトではなく、用途が広範囲にであることを示しています。アイデア次第で、活用は広がるはずです。以前に「ポスターの作成」について掲載したことがありますが、ワードに比べて画像の配置がしやすい事や、文字サイズの修正や装飾がしやすい事などを考えると、パワーポイントを使う方がやりやすいと思います。

PC雑感④新年のご挨拶

何かと忙しく、しばらくHPの更新ができずにいました。そうしているうちに、年が明け2021年(喪中のため、新年のお祝いの言葉は省かせていただきます)。
コロナ禍で日常が大きく変わってしまった2020年でしたが、皆さんはどんな気持ちで新年を迎えられたでしょうか?
リモートワークや外出制限、帰省自粛などで、人との繋がりの在り方が大きく変わってしまったようです。
私自身も、いつもなら娘たちと顔を合わす正月に夫婦二人。元旦には娘からTV電話があり、8月に生まれた孫の顔を見る事が出来ました。私が子ども頃、未来社会の一つに空想したものが現実になり、日常に取り入れられている事を改めて実感しました。PC自体がまさに夢の仕組みですよね。判らないことがあればすぐに検索。大きな百科事典を広げていた時代を知っている者にとってまさに未来社会と言えるでしょう。パソコンは苦手という人も、スマホはバリバリに使っていて、SNSでいろんな人と繋がっていける。もはやデジタル技術・ITは人の営み・社会の一部になりました。
「ドラえもん」ほどではないけれど、これから先もどんどん夢の様な仕組みや道具がでてくるのでしょう。
そして、それが、目の前の「コロナ禍」や今後起こり得る危機を乗り切るための大きな力になると信じたい。今はそんな希望をもって日々を過ごす事ができればと願います。